トーキョーマイノリティー

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トランスジェンダーのトイレ問題、全米で論争

ノースカロライナ州議会は、トランスジェンダー(心と身体の性が一致しない人)に対し、出生証明書に記載された性別に応じて公衆トイレを使うよう義務付けた。これは、男性用あるいは女性用を自己の性認識に基づいて利用できるとした同州最大の都市シャーロットの条例を否定しようとするものだ。全米の州議会や市議会で、このような「トイレ論争」が勃発している。

 ノースカロライナ州は23日、男女別が明記されている公共施設について、出生時の性別に基づいた利用に限定する法律を全米で初めて成立させた。超党派の団体である全米州議会協議会(NCSL)によると、他に少なくとも13州が似たような法律の制定を検討している。

 いくつかの大都市はこれとは逆方向に動いている。ニューヨーク市のデブラシオ市長は今月、自己の性認識に基づいた公衆トイレ利用を認める行政命令に署名した。そして、市の各機関にその行政命令に基づいて2200カ所の公衆トイレへの対応を行うことを義務付けた。またペンシルベニア州フィラデルフィア市は最近、民間企業に対し、1人用のトイレに「ジェンダーニュートラル」な表示、つまり性別を特定しない表示を使うことを義務付けた。

 これとは対照的に、テキサス州ヒューストン市の有権者は昨年住民投票で、性別による差別の禁止をゲイ(同性愛者)やトランスジェンダーにも広げる条例を圧倒的多数の反対で否決している。

 またNCSLによると、10州は「宗教の自由」法の制定を検討している。こういった法律が制定されると、企業が宗教上の観点から同性愛者と働くのを拒否することが容認されかねない。ノースカロライナ州は昨年、下級判事が同性婚の手続きを履行しないことを容認する法律を制定した。

 ノースカロライナ大学法科大学院のマキシン・アイクナー教授は、LGBT性的少数者)の問題に関するこのような動きが相次いでいるが、これには最近連邦裁判所で起きている変化、特に同性婚を認める判決への反発があるかもしれないと指摘する。ただし、同教授は、「LGBTの権利に対する見方が急速に変化しているだけに、私は、反発が起きたという点にではなく、反発が予想以上に少ないことに驚いている」と述べた。

 共和党の全国綱領をまとめる共和党全国委員会(RNC)は、州議会に対し、学校での「ジェンダーアイデンティティー政治(LGBTの利益を代表して行う政治)」を重視するオバマ政権の連邦レベルでの行き過ぎに反対するよう求めている。

 RNCは2月、「生徒のプライバシーを保護するとともに、トイレやロッカールームなどの施設を、その施設に割り振られた男女別に従って利用させる法律を制定する」よう地方議会に促す決議を採択した。

 共和党が多数を占めるノースカロライナ州議会は23日夜の緊急本会議で、前出のトイレ法案を通過させた。これは、民主党が多数を占める同州のシャーロット市議会で先月、これとは逆方向の条例が制定されたことに対抗する動きだ。州議会は法案の審議、採決およびマクロリー州知事による署名の全てを12時間以内に行った。

 これに対しては、人権擁護団体が、急いで法律を通そうとしたため一般市民による議論の余地が全くなく、その結果、人種、出身国、性別や性的指向に基づく差別から市民を保護する地方自治体の措置(条例)を無効にするという混乱を招いたと批判している。

 シャーロットの市長経験のあるマクロリー知事を始め、共和党の政治家たちは、この法律は、子供たちを混乱させたり危険な目に会わせないようにするためだと説明する。同知事はツイートで、「シャーロットの条例は良識に反する」とし、女性用更衣室を使おうとする男が出て来るだろうとつぶやいた。

By VALERIE BAUERLEIN

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